フラガール

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「フラガール」を観てきた。
錦糸町の映画館は3・4割程度の客入りだったな……興収10億はどうかなぁ〜厳しいんじゃないかな。

さて、フラガール、プロジェクトXみたいに、「昔は良かった」「昔の人は頑張った」ではなく、VHS開発ストーリーを映画化した「陽はまた登る」みたいに、理科系・ビジネス系の男の成功物語でもなく、自分の未来を自分の手で拓こうとする女の子の物語になっているのが、さすがという感じ。40年前を舞台にしているけれど、これは、現代にも通じる話。「Allways 三丁目の夕日」を押し退けて、アカデミー賞の日本代表に選ばれたのも納得。

もし、賞を取れないとすれば、予備知識の無い人たちへの「ハワイアンセンター」の説明不足と、恋愛感情描写の希薄さかなぁ……でも、かなり完成度が高い。「Shall we dance?」レベル。

しかし、ツマのヒトは、「ぜんぜんグサっとこない。普通」と辛口評価。

うーん……難しいねぇ。

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コメント(2)

chokudai :

 あ、フラガール、僕も観てきました。
 実はかなり期待して見てきたんですが・・・残念ながら、僕の感想も「んー、ふつー」って感じでした。つか、なんというか、うーん。

 もちろん、なにかをのりこえたり、挑んだり、できないことができるようになったり、閉塞感を打破したり、旧来の価値観との対立とそれを超えて手にした未来であったり・・・をストーリーで見せようとしているのはわかりますが、残念ながら・・・

 大変気になるのは、僕には非常に散漫なお話に見えてしまうことと、特に、言ってしまえば「箇条書きで、良さや価値を表現しやすい」つくりになっていることから、観客や販売側、興行側、評論者が評価しやすいように出来ていること。クリエイティブとしては余り程度が高いとは思えません。戦略的だとは思いますが。
 このことを、奥様は感覚的に感じられて(あるいは明確に意識されて)「ぐさっと来ない。ふつー」とおっしゃったのでは?と思います。

 実話を元にしている、とか、炭坑が云々、とか、時代が、とか、それに対抗するのがいっけんトンチキに見える「ハワイ」だとか・・・、僕、そういうのすごく好きなんですけど、でも、それぞれは存在するもののお話としては雑です。あの要素をそれも綺麗に編み上げることはもっとできたはずで、それを実現したらものすごい高みに上れたお話のはずなのに、どれもこれもばらばらとおかれたまま。

 たとえば、しずちゃんの役柄は非常に重要なはずなんですがあまりに見せ方も扱いも、雑。あれではただの「きもちわるい女の子」です。彼女の存在は、それこそ「炭坑の、なんにもなれない女の子」達が「フラガール」になり、「プロ」になり、「未来」になる瞬間をみせるための存在のはずなのに…。お父さんが死んでも、踊るというエピソードはわかりますが、記号としてわかるだけ。

 あれは、実は炭坑の話でなくても全然おっけーで、要素としてそろえるなら「リストラの荒らしが吹き荒れる大企業の社宅で、奥様と子供達は戦々恐々としているなか、アル中や自殺者も出始めているなかで、自分たちで学習塾(ここはなんでもいい)を始めてがんばってゆく」とか、でもいいはず。実は、炭坑がどうとか、いらない。

 ただ、あのフラダンスは見せ物として非常によくて、すばらしい。故に、最後のダンスシーンがきちんとカタルシスとして機能していない気持ち悪さが気になりました。それは、僕の感覚としてはやっぱり、お話が雑で、箇条書きした要素はばらばらと存在しているのだけどきちんと編み上げられていなくて、散漫で、故に、「これが最後のカタルシスです。どうぞ〜♪」と用意されている記号は理解しますが、そこまでたどり着いていないのに納得を強要される不自然感で僕はいっぱいになりました。

 本当は、ものすごい高みまで登れるはずのお話なのに…、故に、残念です。「惜しい」とも言えない。頭で考えた痕跡が見えすぎます。そして、その思考の程度は低い。

 ただ、
 あの、最後のダンスシーンのあおいゆうさんは非常によく動いて、よいなー、とか。彼女のレッスンシーンで、きっとクラシックバレエの素養があると思うんですがそれが見えすぎて苦笑い、とか、まつゆきやすこさんが共同浴場に乗り込んでいくシーンが最高に好き、とか、そういうのはもちろんあるんですが。

 あと、きしべいっとくさんは、「元ヤマの男」ではなくて、経営者側のひとで、ハワイアンセンターの稟議を通した当人で…とか、のほうがよかったとおもいます。あのへんも雑なんだよな、どう見ても。

 ちうか、
 昨日、スケバン刑事を見てきたんですが、あーん、お話はもっと最悪にめっちゃめちゃのめちゃめちゃなんですが、…かっこいいよぉ、すげー。
 でも、その昔に作られた、非常に程度の高くてトンチキなウソに、現在の世代のひとのウソのレベルが低くて追いついていない感じ。もっとウソついてくれよー。ウソがたりねーよー、って感じ。でも、すごい好き。
 おもしろいかどうか、で言えばおもしろくないでした。でも、好きです。あぁ、もう一回観に行こうか・・・。
 

washi :

>chokudaiさん
コメントありがとうございます。
「雑」「箇条書き」という指摘は、なるほど、腑に落ちます。
#パンフによれば、「省略によるスタイリッシュな演出」だそうですが(笑)。

詳しくは、追ってまた。

スケバン刑事、いってきます。

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このページは、washiが2006年10月 2日 02:26に書いたブログ記事です。

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