ごぶさたしてます
先日、勤め先の方に電話がかかってきた。
「どうも、ごぶさたしてます。○○と申します。」
名前のところが今ひとつ聞き取りづらかったのだけれど、聞き返すのも失礼か、まぁ話しているうちに思い出すだろう……と思って、話をあわせることにした。
「あ、どうも」
「実は今度、転勤することになりまして……」
「あ、そうなんですか」
「ご挨拶にうかがいたいんですけど……」
「えー、えーっと」
「水曜日はいかがでしょうか」
「あー、10時半頃とかでしたら……」
「では、水曜日10時半過ぎにお伺いします」
「はぁ、どうも」
いくら考えてみても、名前に心当たりがなかったけれども、まぁ、最悪、会えば思い出すかもしれない。何かの勉強会やパーティとかで、名刺を交換した人かもしれない……そう思って、会う予定をブッキングした。
で、昨日の水曜日、その○○さんが来た。
顔を見ても思い出せない、とりあえず応接にお通しして、お話を伺うことに。
「転勤なさるとか……」
「ええ」
「私もこちらに来てから名刺が変わりまして……」
決死の奥の手で名刺を交換してみたが、やはり名前や会社に覚えがない。
「いつ以来になりますかね……」
おずおずと聞いてみた。
「春先に一度お電話させていただいたのですが……」
「……」
「その際は、『お役に立てない』とお断りをいただいたのですが……」
「??」
「これがわが社の商品をとりあげた雑誌記事で……」
とパンフレットを手渡されて、ようやく合点がいった。
金融商品の先物取引の営業マンでしたよ。
どこで名簿が漏れたのかよくわからないけど、昨年来、あちこちから、売り込みの電話が掛かってくることが多くて、受ける度にガッチャン・ガッチャン切りまくってる。
そんな詐欺まがいの商売に加担する気などさらさら無いからだ。
状況を理解して、ガックリしつつ、丁重にお引取りいただいた。転勤というのもホントかどうかわからんなぁ。やられたよ。
帰ってもらった後で、気がついた。
「名刺渡しちゃったよ……」
あーあぁ、また、鬱陶しいセールスの電話があちこちから掛かってくるんだろうなぁ。
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