立食パーティの効用

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「欠席される場合は連絡ください」という、出席を強要される連絡が回ってきて、金曜日の夜は、ファカルティとスタッフ総出の懇親会だった。
パーティなぁ……基本的に嫌いじゃないけど、立食パーティは一人で静かに食事をしてるのが罪悪みたいな気分になるのがちょっと……かといって、知り合いとだけダベっていたのでは寂しいしなぁ……。
懇親会の幹事は持ち回りということで、今回は、法人ナントカ部ということで、パーティの運営も手慣れた感じ。諸々、そつがなかった。到着したら、くじの券を渡されて、そこに机の指定がされていて、知ってる人同士が固まらないように、また、料理が満遍なく行き渡るように工夫されていたのだった。

そんな次第で、見事に戦略に乗せられ、初対面の人に話しかけ、話しかけられ……ということになったのだけれど、なんか普段出会うことのない人、しかも、高い専門性を持ってる人ばっかりだったので、聞く話がどれもこれもとても面白かった。

その中の一人、言語聴覚士の先生とは、「高校生の頃、自転車で転んで頭を打ってから、話がスムーズにできないんですけど……」という悩み相談に乗ってもらった。
「これだけ話せてれば、保健は適用されないですねぇ……」と一笑されたけれど、食い下がってみた。
「どんな人も年をとってくると会話の能力は落ちてきますから、そういう意識を持って努力していれば、年齢相応の100%に回復しますよ(笑)」と先生。
「レジュメがあって、話す内容が準備されているのはまだ良いんですけれど……」
「リハーサルするのは良いですね」
「何もない状況から、話したいことを話すというのが難しいです」
「アドリブというのは、一番、高次な機能なので、回復しにくいでしょうね……」
「いわゆる「話し上手になる本」みたいなのは、「聞き上手になりましょう」みたいな答えしか用意されてないですよね」
「それは、コミュニケーションの能力の問題ですもんね。言語の能力ではない。」
「何か、そのアドリブの能力を高めるための訓練というのはあるんですか」
「自分の話しているところを録音する。そして、それを聞き返す。進歩を確認する……ということでしょうかね。できれば、一人じゃなくて、相手がいて、会話している状況の方が良いですね。予想外のことを言われるためには相手が必要です」
「なるほど!」
他にも細々と話しをしたけれど、もう、目からウロコで、腑に落ちまくり。
あとで、周りにいた若手の人が、私に話しかけてきて、「私も勉強になりました。○○先生は、日本の第一人者なんですよ!」
あー、事故の直後とか、大学に入ったばっかりの頃に、この話を聞きたかった……。

私はすっかり味をしめた。次にこうした機会があれば、初対面の人に話しかけて、その人の専門分野について根掘り葉掘り聞いてみよう。思わぬネタが拾えるかもしれない。

今にして思い返せば、W大の助手室の大部屋は、日々、こうした効用があったなぁ……。

さらに思い返せば、昔、好きになった女のヒトは、みんな、突拍子もないことを言うヒトばかりだった。川西蘭「春一番が吹くまで」的な世界が、ちょっと懐かしい。
リハビリ欲求を満たそうとする心理も働いていたのかもしれないな……。

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コメント(2)

柴犬 :

席が固まらないような工夫はいいよね。顔は知ってるけど中身は知らないという間柄は会社に多いけど、結局どういう人だか知らないままに異動したりするからな。斎藤孝風に云えば他者の暗黙知を利用しないままということ。些末僭越ながら私も昨年の忘年会で席順くじ決めだけは使わさせてもらいました。同じ同士(特に女性)が固まると白けるだけだからね。

washi :

確かに席順は、簡にして要のポイントですね>柴犬さん
偏愛マップとか、名前ビンゴまでやらせちゃうと、参加者の心理的負担は微妙に重くなっちゃうし……難しいですね。

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このブログ記事について

このページは、washiが2007年5月27日 07:05に書いたブログ記事です。

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