苦悩する男性

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日曜日、お通夜の帰り、神楽坂の定食屋で晩飯を食べた。

僕のイメージのお通夜というと、夜通し宴会が開かれていて、入れ代わり立ち代わり縁のある人が挨拶に来る……という田舎の方のそれだったので、家を出るとき、「晩飯はいらないよ〜」と言っていたのだった。

いや〜東京のお通夜って、飲食の振る舞いはあるけど、あくまでも形式的なものなのね。みんな、少し手をつけて、サッと帰っていく。……当然かぁ。勉強になった。

さて、定食屋、ガラガラに空いていたのだけれど、隣の隣に、若い男女の二人連れが座って会話を始めた。日曜日だってのに、二人ともスーツ姿。
そもそも、入ってきたときの会話が、オトコもオンナも「ごめんねぇ」「ごめんねぇ」と、謝っていたのが興味津々。
女性が結構、可愛い感じだったのと、男性が結構大きな声で話していたので、聞くとは無しに話に聞き耳を立てる感じになってしまった。

「ごめんねぇ……私、映画に出るとかそういうの、ほんとにあれなんで……○○ちゃんとかの方がいいと思うんだ……云々」
女性が謝っている内容は、男性が撮ろうとしていた映画への出演を断ったことに対してだった。どうやら、男性も女性もなんかのお店の同僚らしい。男性は、働きながら映画監督を目指しているという感じ。

「ごめんねぇ……俺、ほんとにあぁいう世界があるなんて思わなかったからさぁ。いろんな人がいるんだねぇ」
「今日の講習は、ちょっと長かったねぇ」
「いやぁ、でも、正直、よくわからなかったなぁ」
「わからない人のために講習があるのよ。また、来週、別なのが……」
「でもなぁ……」
「私でもできるんだから、○○さんでもできるって」
「……」
「パテントがXXX……ホームページでXXX……の商品を紹介して……XXX……なわけじゃない。」
「だから、その辺がホントによくわからないんだわ」
「でも、○○さん、向いてると思うよ〜。今日だって、いろんな初対面の人と親しく話してたじゃない」
「それは……だから……」
「○○さんだったら私も一緒にやりたいと思ったから、××さんじゃなく、○○さんに声を掛けたわけじゃない?」

しばらく会話を聞いていたら、構図が段々とわかってきた。
女性がやってるのは、アフィリエイトプログラムのねずみ講に違いないのだった。
元気良くアホな男性を子会員にしようと、セミナーへと連れて行ったと。
男性は、職場の同僚でもあり、また、少なからず好意を寄せる対象でもあるので、女性の心証を悪くしないようにやんわりと断りたいと。

オトコとは、かくも哀れなものであるなぁ……私は食べ終わってだいぶ時間も経ってしまったので、最後の結末は見ないまま帰宅してしまったが、あの苦悩する男性のその後が気になる……。
彼女と絶縁する気概で、ハッキリ言わないと、二人の関係はずっとちぐはぐな方向へ行ってしまうような気がする。ここはヒトツ、覚悟を決めるべし。がんばれ。

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このページは、washiが2006年11月 7日 01:20に書いたブログ記事です。

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